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映画監督・周防正行「古舘伊知郎さんのプロレス実況は“現代の活弁”です」映画「カツベン!」の活動弁士を明快に説明 - マイナビニュース

映画監督・周防正行「古舘伊知郎さんのプロレス実況は“現代の活弁”です」映画「カツベン!」の活動弁士を明快に説明
禁酒法の時代に、こっそり営業していたBAR「SPEAKEASY」。2020年の東京の街にも、そんなひそかなBARがありました。月曜から木曜の深夜1時にオープンする“ラジオの中のBAR”「TOKYO SPEAKEASY」。各界の大物ゲストが訪れ、ここでしか話せないトークを展開するとか、しないとか……。

4月9日(木)のお客様は、フリーアナウンサーの古舘伊知郎さん、映画監督の周防正行さんです。今回はリモートでの対談となりました。

(左から)古舘伊知郎さん、周防正行さん


◆活動弁士の喋り手によって映画が違う世界になる(周防)
古舘:俺はね、映画「カツベン!」を周防さんが撮ってくれて、涙が出るほど嬉しかった。

周防:うわ!

古舘:何でかって言うと、僕なんかも知らない、大正初期の語りの原点とでも言うべきものを、今取り上げて作品にしてくれるっていうのは、喋り手根性としたら得も言われぬ嬉しさですよね。

周防:でもこれ、古舘さんに前も言ったかもしれないけど、最初に「カツベン!」という映画を人に説明するとき、要するに「活動弁士とは?」って説明をするときに、「例えば古舘伊知郎さんのプロレス実況、あれは現代の活弁です」っていう言い方をよくしていたんです。そうすると向こうも理解してくれるっていうか。で、だいぶ先輩になりますが、みのもんたさんもね、「プロ野球珍プレー好プレー大賞」とか。あの映像にあの喋りが入ることで、映像の観るべきポイントだったり、面白さっていうのが、すごく視聴者に伝わるわけですよね。

活弁ってやっぱり活動弁士が喋ることによって、その動画の何が面白いのか、どこに注目するとどんなものが見えてくるのか、そういうことを喋りがサポートしてくれる。尚かつすごかったのは、当時は明治のおしまいから大正、昭和初期の語り手達っていうのは、みんな自分の喋りの方に映画を寄せて喋っていたので、喋り手によって映画が全然違う世界になっていたんですよね。

古舘:それ、周防さんから聞いてビックリしたの。1つの作品によっていっぱい弁士がいて、「私はあの弁士が嫌い、こっちの弁士が好きだからこっちに行く」って、1つの作品なのにまったく別物になってるんですよ、弁士が違うだけで。

周防:そうです。だから活動写真はまさにライブだったんですよ。

古舘:いやー、いいな。

周防:だって同じ語り手だって、その日の客層を見て喋りを変えたりとか、例えば1週間やっているとすると、最初に喋ったことで上手くいかなかったな、と思ったら変えていくんですよね。だから、おそらく一度として同じ喋りがなかったんだと思うんです。だからライブなんですよ。

◆僕は客観めいた喋りの方が上手いんですよ(古舘)

古舘:人生にリハーサルはないとか言うけども、本当に2回同じものっていうのは同じ人でもあり得なかったって、同じスクリーンでもね。そこも凄いし。あとね、僕が思ったのは、俺の名前と先輩のみのさんの名前を実況繋がりで出してもらったっていうのは、弁士を語る例えでね。面白いのと同時に、「あ、違いもあるんだ」と思ったのは、僕は客観めいた喋りの方が上手いんですよ。

「今、周防さんと私が無機質な部屋で向き合っているかのようになっておりますが、同じヘッドセットをしていながら」とか、そういう状況を言ってるから嘘は言ってないんですよね。やや客観めいた喋りなんですよ。みのさんの「プロ野球珍プレー好プレー大賞」のあの喋りは完全に主観に変えるんですよ。

周防:あーなるほど。

古舘:客観が一切ないわけですよ。「広島の選手は今監督に抗議してます」なんて絶対に言わないじゃないですか。「痛いって言ってんのに何なのよ」「監督だったらちゃんと指示出してくれよ。俺だって一生懸命やってんだよ」「お前よく言うな」ってやりあいみたいなのを勝手な想像で喋ってめちゃ面白かったんですよ。だから全然違うんだけど、同時に出してくれたんですね、周防さんは例えをね。

周防:でも本当に弁士も色んな人がいたしね。

古舘:だって大正直後に6,000人ぐらいいたんでしたっけ?

周防:えーっと、もっとですね。確か7,500人ぐらいだったんじゃないですかね。大正のおしまいから昭和の初めが1番多かったはずです。

古舘:そんないたんですか?

周防:はい。映画館の数だけっていうか、映画館の数×何人かですよね。1人で1日中喋っているわけにはいかないから。

古舘:うわあ、いいライブの時代だったんだな、何か。

※周防正行監督最新作『カツベン!』DVD、東映ビデオより6月10日発売です。
 詳しくは公式サイトをチェック!

今週の「TOKYO SPEAKEASY」のお客様は……

4月22日(水):木村祐一さん×田口トモロヲさん
4月23日(木):古市憲寿さん×小倉智昭さん

がご来店。一体どんな話が飛び出すのか……!? お楽しみに!

▶▶この日の放送内容を「JFN PARK」でチェック!

<番組概要>
番組名:TOKYO SPEAKEASY
放送日時:毎週月-木曜 25:00~26:00
番組Webサイト: https://ift.tt/3cgZuHC

本記事は「TOKYO FM+」から提供を受けております。著作権は提供各社に帰属します。

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April 22, 2020 at 01:00PM
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