
音楽学校教師で産業カウンセラーの手島将彦が、世界の音楽業界を中心にメンタルヘルスや世の中への捉え方を一考する連載「世界の方が狂っている ~アーティストを通して考える社会とメンタルヘルス~」。第33回は、複数の自己を持つプロテウス的人間をテーマに産業カウンセラーの視点から考察する。 現代社会におけるアイデンティティのジレンマとは? サカナクションの「アイデンティティ」のように、アイデンティティ(自我同一性・自己同一性)は、アーティストたちにもテーマとして取り上げられることが多い言葉です。これは、「自己を確認すること」であり、「他の人に対して自分を証明し、そして自分に対しても自分を証明すること」(*1)です。あるいは「自分が自分であるという一貫性、時間的連続性を持っている感覚」(*2)、という説明もあります。サカナクションでは「アイデンティティがない」とサビで歌われていますが、「アイデンティティの喪失」という場合、簡単に言えばそれは「自分が何者か分からなくなってしまう」ということです。そうなってしまうと、メンタルにも悪い影響が出てしまいます。
「一貫していくこと」と「絶えず変化し続けていくこと」とのジレンマ
アイデンティティは青年期に一度確立されると、後はそれが一貫して続く、あるいはそうあるべき、というようなイメージを持たれることがありますが、実際は必ずしもそうではありません。人は成長するにしたがって、職業やパートナーの選択、加齢や社会状況の変化など、多くの選択を突きつけられ、様々な変化に対応することになり、その都度「自分とは何者であるか」を問い直すことになります。アイデンティティの感覚は「一貫していくこと」と「絶えず変化し続けていくこと」とのジレンマに常にさらされているのです。 また、現代社会では、人は「多元的なアイデンティティ」を持つようにもなっています。相手との関わりや、活動場所での役割の違いに合わせて自分のアイデンティティを変えているのです。例えば「会社での自分」、「家庭での自分」、「遊び仲間・サークルの中での自分」などです。アイデンティティは他の人々との関わりの中で作られていく、社会的なものですので、社会が変わればその在り方も変わっていきます。社会が消費社会へ、グローバル社会へと変化していくにしたがい、個人に与えられる役割や関わる場所は増加し、分化していきます。すると「社会が消費社会へと変化していくにつれて複数の自己を持つプロテウス的な人間が増加する」ようになる、と社会学者のリフトンは指摘しています。プロテウスとはギリシャ神話に出てくる、何にでも変幻自在に変化できる神のことです。また、精神科医の小此木啓吾氏は「今やこの人間が現代の適合者になろうとしている、いやむしろ、プロテウス的人間としての資質が無ければとてもこの変動社会を生き抜いてゆくことは出来ない」と述べています。
"現代の" - Google ニュース
July 21, 2020 at 09:30AM
https://ift.tt/2WWK9qv
メンタルにも悪い影響を与える、現代社会におけるアイデンティティのジレンマ(Rolling Stone Japan) - Yahoo!ニュース
"現代の" - Google ニュース
https://ift.tt/36b4L0m
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update
Bagikan Berita Ini
0 Response to "メンタルにも悪い影響を与える、現代社会におけるアイデンティティのジレンマ(Rolling Stone Japan) - Yahoo!ニュース"
Post a Comment